生活サポート基金は消費者金融や銀行と同様にお金を借りられる法人であり、生活に困っている人を補助する目的で運営されています。
この記事では生活サポート基金でお金を借りられる貸付制度について、以下の項目を解説していきます。
生活サポート基金の利用を考えている人は参考にしてみてください。
生活サポート基金は、2005年(平成17年)12月14日に設立した東京都の新宿区に本部を置く一般社団法人です。
生活者が抱える経済的な問題や不安に対して支援を行って、問題の解決や安心感のある生活に戻れるようにする「生活リメイク」を目標に掲げて活動しています。
生活サポート基金の主な事業内容は以下の6つがあります。
事業 | 概要 |
---|---|
生活再生のための生活相談事業 | 借金の返済や家賃の支払い、給料面の悩みなどの相談を無料で受けて、改善策の提案や検討を行う |
生活再生資金の貸付事業 (生活再生ローン) | 生活サポート基金が行う独自の貸付制度 |
個人再生ファンド運営事業 | 多重債務者や生活困窮者に対する融資として使う資金について、出資者の募集や制度の運営を行う事業の運営 |
東京都多重債務者生活再生事業 | 東京都と提携して運営する事業で、生活サポート基金が相談対応、社会福祉法人東京都社会福祉協議が基金の設置と運用、中央労働金庫が貸付を行う |
東京都ソーシャル・エンジェル・ファンド運営事業 | 東京に住んでいるひとり親世帯と社会的養護下で暮らした経験がある人を対象に助成や貸付を行う制度 |
研修・セミナー事業 | 生活再生を受ける相談員向けの研修や一般市民に向け家計セミナーについて、講師の派遣を行う |
同じように貸付を行う消費者金融とは違って、営利を目的にしていない事業であり、生活の維持の向上に役立つ活動となっています。
生活サポート基金に金銭面の問題について無料相談を行った時、生活サポート基金における貸付制度の利用を提案される場合があります。
現在の貸付制度としては以下の3種類があります。
いずれの貸付制度も借り入れであるため、最終的には返済する必要があり、生活再生ローンと不動産担保ローンにはついては金利が発生します。
発生した金利は、生活サポート基金をサポートする出資者や支援者に対する分配に使用されます。
生活再生ローンは事業性資金を除く生活再生資金として貸付される制度です。
貸付を行う状況としては以下の内容が例として挙げられています。
上記の状況以外にも日常生活の資金面で困っていて、貸付対象となる場合は、生活再生ローンを案内される可能性があります。
生活再生ローンを利用するためには以下の条件を全て満たす必要があります。
返済可能な見通しがある人という条件から、相談した時点で無収入の人は貸付を受けられませんが、収入がある家族と同居している場合は貸付を検討される可能性があります。
また、貸付される金額は相談者の要望になるべく沿うようになっていますが、金額の上限として貸金業法における総量規制の範囲内という設定があります。
総量規制とは、貸付業者全体で消費者に対する貸付金額が年収の3分の1を越えてはならないという制度です。
仮に年収が300万円の人が消費者金融等で80万円借り入れしていて、返済が完了していない場合、生活再生ローンでは20万円が上限になります。
そのため、生活再建するために総量規制の範囲以上のお金が必要となる場合は、別の方法での改善を提案されます。
生活再生ローンの予約から返済までの流れは以下の通りです。
消費者金融の場合は返済の完了次第終わりですが、生活サポート基金の場合は生活再建までを補助するため、返済完了後も状況に合わせた支援を受けられます。
また、予約時の電話の問い合わせ先は以下の通りです。
問い合わせ先 | 電話番号 | 対応時間 |
---|---|---|
東京都内に在住している場合 | 03-5227-7266 | 月~金曜日 9時半~18時 |
神奈川県・埼玉県・千葉県に在住している場合 | 03-5227-7280 | 月~金曜日 9時半~18時 |
生活サポート基金 | 03-5227-7260 | 月~金曜日 9時半~18時 |
東京都とそれ以外の3県で連絡先が異なりますが、対応時間はいずれも平日の夕方までになっています。
該当する県の番号が繋がらない場合は、生活サポート基金全般の番号に連絡しましょう。
生活サポート基金の貸付制度でも申し込み完了後に必ず審査が行われます。
面談での相談内容や申込書に書いた項目が事実と相違ないか、先に紹介した貸付の条件に合致しているかを確認する審査ですが、公式で明確な審査基準は明かされていません。
消費者金融等の融資と違って事前に面談が挟まれるため、厳しい状態であると伝えられていれば、その状況を加味して審査が行われます。
反対に、面談で嘘を付いても審査する過程で調べられるため、最初から正しい情報を伝えて貸付制度が利用できるか相談してみましょう。
生活再生ローンは貸付完了後に1ヶ月単位で返済を行っていきます。
以下は生活再生ローンの返済に関する情報です。
返済期間(返済回数) | 1ヶ月~120ヶ月(10年) |
---|---|
融資利率(金利) | 年12.5%以内 |
遅延損害金利率 | 年14.6% |
返済方式 | 元利均等、元利一括 |
その他 | 相談者の状況によっては連帯保証人に加えて、動産や不動産を担保とする必要あり |
返済期間や返済方式は相談者の希望を受けつつ、無理なく返済できる方法に設定されます。
元利均等返済は毎月の返済額が利息を含めて一定となるように返済していく方式で、1ヶ月あたりの返済金額を少額に抑えて、計画的に返済できます。
元利均等返済を選択した場合の返済シミュレーションの例は以下の通りです。
借入額 | 返済期間 | 毎月の返済額 |
---|---|---|
50万円 | 3年 | 16,726円 |
100万円 | 4年 | 26,579円 |
200万円 | 6年 | 39,622円 |
300万円 | 10年 | 43,912円 |
一方、元利一括返済は貸付金額に利息分を加えて一括で返済する方式です。
貸付金額によって利息込みの返済額は高くなる可能性がありますが、長期間にわたって利息を発生させるよりも一括の返済の方が低額で済みます。
基本は最初に設定した期間や方式で返済を行いますが、生活サポート基金は生活再建を補助する事業であるため、相談により期間の延長等の対応をして貰える可能性があります。
期間を延長すればその分金利も増えるため、相談の段階で金銭状況を詳しく伝えて、自分にとって適切な返済期間と返済方式になるように協力しましょう。
ソーシャル・エンジェル・ファンドは、2021年10月から開始された助成及び貸付制度です。
助成に関しては、ひとり親世帯と社会的養護下で暮らした経験がある人を対象に以下の3つの支援を行っています。
助成制度 | 内容 |
---|---|
ひとり親世帯の就労支援 | 認定NPO法人しんぐるまざぁず・ふぉーらむと連携して、就職や転職の個別相談支援を行う |
社会的養護施設下の方の就労マッチング支援 | 首都圏若者サポートネットワークと連携して、児童養護施設や里親などの社会的養護下で暮らした経験がある人を対象に、就労体験を行う |
ひとり親世帯と社会的養護施設下の若者の就学支援 | ひとり親貸付の返済金の半分と寄付金を財源として、対象者の就学支援を行う |
一方、貸付制度については、ひとり親世帯を対象に事業性資金を除いた生活資金や公的支援で補い切れない用途での資金として貸付されます。
ソーシャル・エンジェル・ファンド(ひとり親向け貸付)を利用するためには以下の条件を全て満たす必要があります。
ひとり親世帯については母子または父子家庭の他に、離婚手続きが完了していない人や出産予定の状態でひとり親になる人なども含まれています。
生活再生ローンとは異なり、契約に連帯保証人は必要ありませんが、返済義務を追わない生活を伴走する人(生活伴走人)をつける必要があります。
ひとり親世帯の場合は、共に暮らす親もしくは親族が生活伴走人に該当するため、この点は契約で引っかかることはありません。
また、貸付の回数及び金額について、以下のルールが設けられています。
助成においても連携している認定NPO法人しんぐるまざぁず・ふぉーらむに相談した上で、紹介状を貰った場合に生活サポート基金から貸付が行われます。
貸付される金額については1件につき20万円以内で、こちらの制度でも賃金業法の総量規制が適用されるため、他の借り入れ状況によっては貸付金額が限られる可能性があります。
ソーシャル・エンジェル・ファンド(ひとり親向け貸付)の予約から返済までの流れは以下の通りです。
最初の相談先は生活サポート基金ではなく、社会福祉法人東京都社会福祉協議及び中央労働金庫と連携して運営する東京都生活再生相談事業となっています。
その後、生活サポート基金での審査を挟んで、しんぐるまざぁず・ふぉーらむから紹介書を貰うと、生活サポート基金との契約が成立します。
ソーシャル・エンジェル・ファンド(ひとり親向け貸付)も貸付完了後に1ヶ月単位で返済を行っていきます。
以下はソーシャル・エンジェル・ファンドの返済に関する情報です。
返済期間(返済回数) | 40ヶ月、最長1年間の返済猶予あり |
---|---|
融資利率(金利) | 0% |
遅延損害金利率 | なし |
返済方式 | 元金均等返済 |
唯一利息が発生しない貸付制度であり、遅延した場合の損害金も基本は発生しません。
返済シミュレーションの例は以下の通りです。
借入額 | 返済期間 | 毎月の返済額 |
---|---|---|
20万円 | 3年と4ヶ月(40回) | 5,000円 |
貸付の最大金額である20万円を借り入れして、40回で返済する場合は1ヶ月あたりの返済額が5,000円と非常に少額で済みます。
なお、ソーシャル・エンジェル・ファンドの返済金額は、次の貸付と共に子どもの就学助成の資金として利用されます。
不動産担保ローンは事業性資金及びオーバーローン状態を除いて、不動産を持っている人を対象に、生活再建のために資金を貸付する制度です。
不動産を担保として、返済する過程で不動産を売却していくため、利用の条件には売却前提での申し込みが求められています。
また、担保があるため、原則として保証人は不要ですが、相談者の状況によっては連帯保証人が必要となります。
貸付される金額については相談者の要望に沿うようになっていますが、こちらも総量規制の範囲内になるため、最大でも年収の3分の1以内の金額です。
申し込みの流れは生活再生ローンと同様、途中で審査を挟んだ上で、貸付完了後も生活再建のための継続的な支援が行われます。
不動産担保ローンの返済期間は半年から1年以内と定められています。
以下は不動産担保ローンの返済に関する情報です。
返済期間(返済回数) | 6ヶ月~12ヶ月 |
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融資利率(金利) | 年利6.0~9.5% |
遅延損害金利率 | 年利14.6% |
返済方式 | 期限一括返済・利子毎月支払い |
早期返済手数料 | 3ヶ月以内に返済完了した場合、弁済元金の3%の手数料が発生する |
期限一括返済・利子毎月支払いは、返済期間中に発生する利子だけを毎月支払い、元金については返済期間の最終日に一括で返済する方式です。
1ヶ月あたりの返済額は利子だけなので低額で済む可能性がありますが、最終日にまとまったお金が必要になるため、それまでの期間にお金を貯めておかなければいけません。
返済シミュレーションの例は以下の通りです。
借入額(元金) | 返済期間 | 年利 | 毎月の返済額 |
---|---|---|---|
500万円 | 1年(12ヶ月) | 8.0% | 40,342円 |
1,500万円 | 1年(12ヶ月) | 9.5% | 101,917円 |
返済方式はこの1種類だけであり、通常は返済完了までに6ヶ月以上の時間がかかる前提で利子が設定されています。
また、3ヶ月以内にお金を用意できて返済完了しても、早期返済手数料が発生する点は覚えておきましょう。
生活サポート基金の貸付制度を利用するメリットとしては以下の点が挙げられます。
ソーシャル・エンジェル・ファンド以外の2種類のローンでは金利が発生しますが、それらの金利は消費者金融やカードローンの金利よりも低めに設定されています。
借入おける金利の上限は賃金業法で年18.0%と定められており、消費者金融では年18.0%を上限としているところが多くあります。
生活サポート基金の中心となる貸与制度の生活再生ローンでは年12.5%以内であるため、上限が適用されても消費者金融よりは低くなるのです。
また、貸付制度を利用する相談は予約の必要はあるものの、無料で貸付制度以外の一番良い選択肢を提案して貰える点も消費者金融等にはないメリットになります。
生活サポート基金の貸付制度を利用するデメリットとしては以下の点が挙げられます。
生活サポート基金に相談しなければならない状況では、既に他から借り入れしている可能性もあり、そこから総量規制に引っかかると生活サポート基金からの貸付は少額となります。
不動産担保ローンの場合は高額な貸付も行えますが、不動産所持者という限定的な条件であるため、多くの人が利用するのは難しい制度です。
また、お金が必要になった段階で申し込んでも相談の予約から始める必要があり、審査期間も含めると実際にお金が手元に来るまで時間を要します。
ただ、生活サポート基金を利用する目的の1つとして、消費者金融等から融資を受けられない状態です。
他の機関を利用するよりは審査に通る可能性は高くなっています。
金額の高さや融資までの時間を求めて闇金に手を出してしまうと、さらに借金や利息を抱えてしまい兼ねません。
生活サポート基金や貸付制度を利用する際の疑問点について、以下の3つがよく挙げられています。
生活サポート基金の貸付制度は東京都もしくは一都三県に住む人に対する制度であるため、それら以外の都道府県では利用できません。
各都道府県や地方においては類似する法人や国による補助が行われているため、同じような状況である人は別の機関を頼るようにしましょう。
貸付制度の利用については、生活再生ローンでは連帯保証人、ソーシャル・エンジェル・ファンドでは生活伴走人を付ける必要があります。
連帯保証人には親族や友人、生活伴走人は共に生活する家族となるため、最低でも1人には利用した事実を伝えなければいけません。
生活サポート基金自体は相談者の利用を公然しないので、それを踏まえて利用を検討しましょう。
また、生活サポート基金は貸付制度以外の手段で状況改善を試みる可能性があります。
そのため、予約相談すれば必ず貸付して貰えるわけではありませんが、相談によって別の改善案は必ず出してくれます。
生活再生ローンでは利息が付いた上で返済する必要があるため、生活サポート基金以外の機関や国の制度の方が、より良い補助を受けられる可能性があるのです。
生活サポート基金でお金を借りられる手段として、「生活再生ローン」と「ソーシャル・エンジェル・ファンド」、「不動産担保ローン」の3種類の貸付制度が用意されています。
利用できるのは一都三県に限られていて、各貸付制度で様々な条件を満たす必要はありますが、低い金利で貸付して貰える点は大きなメリットです。
また、生活サポート基金では無料で相談出来るようになっており、貸付制度以外の手段で状況を改善できる可能性もあります。
条件に該当していて、金銭的な悩みを抱えている人は、電話や公式サイトの問い合わせから予約して無料相談から始めてみましょう。