クレジットカードのリボ払いは気軽に利用できる支払方法ですが、計画的に利用しないとさまざまな危険を伴います。
安全に利用するためには、正しい知識が必要です。
こちらでは、リボ払いについて知っておきたいことをまとめました。
この記事でわかること
今回の記事により特徴だけでなく、安全に利用できるコツや完済できない時の解決方法についてもわかります。
リボ払いとはリボルビング払いの略で、利用額や回数にかかわらず事前に設定した金額を毎月支払う方法のことです。
支払時に選択するか、後からの設定変更により利用できます。
リボ払いの利点は、以下の2つです。
高額な買い物をした場合でも支払額が一定となるため、家計への負担が少なく購入できます。
手元にお金がないが、どうしても欲しい物がある時などに役立ちます。
一方、リボ払いの欠点は以下の3つです。
利用には手数料がかかるため、支払の負担は軽減されるものの結果として支払総額が増えてしまいます。
支払額が一定となる代わりに返済期間が長くなり、なかなか返済が終わらない可能性があります。
現金払いや一括払いに比べて、利用残高がわかりにくいのも特徴です。
ここからは、リボ払いと混同されやすい分割方法について解説します。
リボ払いと同じように支払の負担を軽減できる支払方法には、分割払いがあります。
手数料がかかる点も同じですが分割払いは2回まで手数料が無料の場合が多く、回数が増えるごとに手数料も高くなっていきます。
分割払いの特徴は、以下の通りです。
リボ払いが支払額を設定するのに対し、分割払いは支払回数を設定する点が異なります。
分割払いのほうが未払金の残高を把握しやすいため、安全に利用できるのが利点です。
続いて、リボ払いの元金定額方式と元利定額方式の違いを解説していきます。
元金定額方式と元利定額方式は、毎月の返済額の中に手数料を含めるかどうかが異なります。
元金定額方式とは、事前に設定した支払額に手数料を足した金額を毎月支払っていく方法のことです。
利用残高が多いうちは手数料も高くなるため、家計への負担が大きくなります。
返済額のうち元金のみが定額となり、そこに手数料が加算されるため、月によって返済額が違うのが特徴です。
しかし返済回数を重ねるごとに月々の支払額が減少していき、支払う手数料の合計額を抑えられるため、元利均等方式に比べて返済期間が短くなる利点もあります。
一方、元利定額方式とは事前に設定した金額に手数料も含めて毎月支払う方法のことです。
月々の支払額が一定となる代わりに、支払額のうち元金の返済にあてられる割合が変化する特徴があります。
設定金額が低いとほとんどが利息の支払にあてられてしまい、元金がなかなか減少しないのが欠点です。
リボ払いの支払方法には、主に2つの方式があります。
リボ払いの支払い方法には主に定額方式と残高スライド方式の2つの方式があり、それぞれ特徴が異なります。
定額方式とは、事前に設定した固定の金額を毎月支払う方式のことです。
返済の途中に追加で利用した場合も、月々の返済額は変わりません。
返済が終わらないうちに追加で利用するとその分返済期間が伸びるため、かかる手数料も増えていきます。
一方残高スライド方式とは、利用額の残高に応じて月々の返済額が段階的に変動する方式のことです。
カード会社によって、残高に対する返済額が定められています。
未払金の残高が一定の額を超えると返済額が増額されるため、自分の予期せぬ時に返済が苦しくなる場合があります。
以下は、MUFGカードの残高スライド方式での利用残高に対する返済額の一覧です。
各コースの毎月のお支払金額
引用元:MUFGカード お支払金額・手数料について|クレジットカードなら三菱UFJニコス
締切日(毎月15日)時点のご利用残高 10万円以下 10万円超 20万円以下 以降10万円増すごとに 標準コース 1万円 2万円 1万円ずつ加算 長期コース 5千円 1万円 5千円ずつ加算
利用残高を把握しないまま利用し続け10万円を超えてしまうと、標準コースでは返済額が10,000円から20,000円に増え、2倍となります。
各カード会社では、これらの方式と支払方法のうちいずれかを組み合わせた支払方法が採用されています。
定額方式は返済期間が伸びる原因にもなるため、リボ払いはやばいと言われる要因の1つです。
リボ払いがやばいと言われる理由は、以下の3つです。
リボ払いは月々の支払額を少額に抑えられるため、家計への負担が少なくなる利点があります。
手元にお金がない時や高額な買い物をする時に便利ですが、危険性を知らないまま利用すると返済が終わらず、自分では手に負えなくなる可能性もあります。
ここからはやばいと言われる理由について、1つずつくわしく解説します。
リボ払いがやばいと言われる最大の理由は、高額な手数料がかかるためです。
一般的に手数料は利率年15%程度となっており、これはカードローンや消費者金融のローンの利率と同水準となります。
買い物の支払時に気軽に利用できるため自覚が難しいのですが、利用額に対してローンと同水準の利率の手数料を支払わなければなりません。
手数料は、カード会社の公式サイトなどにある返済シミュレーションを利用して計算できます。
たとえば20万円の買い物を元金均等方式の手数料の利率年15.0%、毎月の支払額5,000円でリボ払いした場合の利息についてみていきます。
今回は、JCBの公式サイトにあるシミュレーターを使って計算しました。
利用額 | 200,000円 |
---|---|
手数料の合計 | 50,863円 |
支払の合計金額 | 250,863円 |
参照元:ショッピングリボ払いの返済シミュレーション(手数料、お支払い合計金額)|ショッピングリボ払い|クレジットカードなら、JCBカード
手数料がかからない一括払いと比較すると、50,863円多く支払う必要があります。
リボ払いは、高額な手数料を認識した上での利用が大切です。
2つめの理由は月々の返済額が少ない分、返済期間が長くなりがちなためです。
毎月の家計への負担を軽くできるのがリボ払いの利点ですが、返済額を少額に設定していると返済期間が長くなる傾向があります。
利用残高に対して設定額が少ないと支払のほとんどが手数料の返済にあてられてしまい、なかなか元金が減らないためです。
返済している間も手数料が増え続けるため、一括払いに比べて支払総額が大幅に増えてしまいます。
仮に200,000円の買い物を元利均等方式の手数料15%で月々5,000円と10,000円支払った場合の返済期間と返済回数は以下の通りです。
先ほどと同じく、JCBのシミュレーターを使って計算しました。
返済額 | 月々5,000円 | 月々10,000円 |
---|---|---|
返済期間 | 3年4ヶ月 | 1年8ヶ月 |
支払回数 | 40回 | 20回 |
手数料の合計 | 50,863円 | 25,882円 |
支払の合計金額 | 250,863円 | 225,882円 |
同じ利用金額でも返済額5,000円では返済額10,000円に比べて、手数料と返済期間は共に約2倍となります。
返済中に追加でリボ払いを利用するとさらに元金が膨らみ、返済期間が伸びてしまいます。
3つめの理由は、管理が難しく返済できている感覚に陥るためです。
リボ払いでは月に利用した金額や未払金の把握が困難で、管理が難しい一面があります。
毎月自分の設定した金額が引き落とされるため、返済できている錯覚に陥りがちです。
返済額の中には手数料が含まれるため、毎月滞りなく返済していても元金自体が減っていない可能性も高くなります。
しかし元金が減っていないことに対して危機感を持てず、使いすぎてしまう場合があります。
自分がこれまでに利用した金額よりもあといくら利用できるかに意識が向きがちになる人も多く、未払金や返済期間を把握していない人も多いのが現状です。
リボ払いは、未払金と残りの返済期間がどのくらいあるか把握しながら利用しましょう。
上記の3つの理由などからやばいと言われるリボ払いには利用を避けたほうが良い人がいます。
リボ払いを避けたほうが良い人の特徴は、以下の3つです。
リボ払いは気軽に利用できるため、知らない間についつい使い過ぎてしまう傾向があります。
しかし現金払いや一括払いと比べて未払金の把握が難しく、しっかり管理した上での利用が必要です。
管理ができていないと知らない間に未払金が膨らんでしまい、自分ではどうにもできなくなる場合があります。
ここからはリボ払いを避けたほうが良い人の特徴について、1つずつみていきます。
リボ払いのしくみをわからないまま利用するのは危険なため、しくみがよくわからない人は利用を避けるべきです。
自分のクレジットカードがどの方式を採用し、毎月どのくらい元金が返済されているかの理解が必要です。
種類によって返済額や返済のうち元金にあてられる割合が異なり、しくみを理解していないと元金が減っていない状況に気付かない恐れがあります。
生活に余裕を持つため、しくみをわからないまま安易に毎月の返済額を少額にするのも危険です。
返済額は自分で設定できますが、未払金の残高に対して毎月の返済額が少ないと元金が減らず、返済期間が長くなる原因となります。
リボ払いには、他にも避けたほうが良い人の特徴があります。
利用明細を見る習慣のない人は未払金が増えても気づかない場合が多く、危機感を持てない傾向があります。
クレジットカード払いで自分が何に使ったか覚えていない人は、意外に多いのが現状です。
リボ払いの未払金の残高は公式サイトやアプリ、利用明細書などで確認できます。
Netアンサー(インターネット)/セゾンPortal(アプリ)/ご利用明細書にて毎月14日(明細書作成)時点のリボ払い・分割払いの残高がご確認いただけます。
引用元:リボ払い・分割払いの残高を確認したい。よくあるご質問 | クレジットカードはセゾンカード
リボ払いは未払金の把握が困難であり、気が付いた時には完済するのが難しい状況になる恐れがあるため、利用明細による管理が必要となります。
お金の使い方に計画性のない人は、リボ払いの利用により未払金が膨らんでしまう可能性があります。
リボ払いは適切な管理をしないとさまざまな危険性があり、毎月のしっかりした資金計画が必要です。
計画性のない人や管理に自信のない人は、リボ払いを避けたほうが良いでしょう。
リボ払いは支払の負担が少なくなるため、手元にお金がなくても買い物が可能です。
しかし欲しい時に衝動買いを繰り返しているとどんどん未払金と手数料が増えてしまうため、買い物依存や浪費癖のある人にも向いていません。
未払金を完済しないうちに新たにリボ払いを利用すると、さらに未払い金が膨らんで返済期間が伸びてしまいます。
利用を避けたほうが良い人もいるリボ払いですが、安全に利用できるコツもあります。
安全にリボ払いを利用できるコツは、以下の3つのコツです。
これまでリボ払いがやばいと言われる理由や、リボ払いを避けたほうが良い人の特徴を紹介しました。
しかし特徴を理解し、しっかり管理した上でのリボ払いは便利な支払方法です。
家計の管理が容易となり、高額な買い物の支払の負担が減る利点もあります。
ここからは、安全にリボ払いを利用できるコツについて1つずつ解説していきます。
安全にリボ払いを利用するためには、毎月の利用明細の確認と未払金の残高の把握が必要です。
リボ払いの設定金額は一度設定するとある程度同じ金額が毎月引き落とされるため、関心が薄れてしまいがちになります。
リボ払いには未払金の残高が把握しづらい特徴があるため、自分で確認するように心がけましょう。
月々で返済できなかった分の利用額は未払金として増えてしまうため、知らないうちに未払金の残高や手数料の支払額が膨らんでしまう危険があります。
自覚がないままリボ払いを使ってしまっている場合も、利用明細によって早期に発見できます。
安全にリボ払いを利用するためには、未払金を完済してから利用するようにしましょう。
返済が終わらないうちに新たにリボ払いを利用するのは未払金が膨らむ原因となるため、避けるべきです。
利用残高の増加によって手数料の支払額が増え、支払総額も増えてしまいます。
リボ払いの設定額が少額の場合は特に元金が減らず、返済期間も長くなる傾向です。
返済中にどうしてもリボ払いを利用したい場合は、代わりに分割払いで支払う方法もあります。
上記で紹介したように分割払いは利用残高の把握が容易で、2回までは手数料無料のカードが多いのが特徴です。
分割払いはリボ払いに比べて手数料の支払で元金の返済が進まない恐れが少ないため、安全に利用できます。
リボ払いを安全に利用できるコツとして、月々の返済額を上げた短期間での返済もあげられます。
月々の返済額の引き上げにより、返済期間が短縮できます。
返済期間が短くなるほど余計に払う手数料が減り、支払総額の減額に効果的です。
月々の返済額を少額に設定している場合は収入と返済額のバランスを見直し、可能な限り返済額の引き上げを検討しましょう。
リボ払いでは自分で月々に支払う金額を決められるのが特徴のため、残高スライド方式による制限や手数料による増減を除き、毎月の返済額を自由に決められます。
資金に余裕のある時の一時的な返済額の引き上げや、余裕がなくなった場合の引き下げも可能です。
返済額の変更は利用しているクレジットカードによって会員ページやアプリ、電話などから手続きする方法があります。
まとまった資金ができた場合には、未払金の繰上または一括での返済も可能です。
繰上返済や一括返済は月々の返済額の引き上げと同じように手数料の支払額を抑え、支払総額の減額に効果があります。
未払金の一括返済は、リボ払いを完済するための1つの方法です。
ここからは、月々の返済でなかなか完済できないリボ払いを解決するための方法を紹介していきます。
完済できないリボ払いを解決するためには、以下の3つの方法があります。
リボ払いを利用している人の中にはすでに未払金が膨らんでしまい、返済期間が長引いて先が見えない人もいるでしょう。
これらの3つの方法のうちいずれかの活用により、リボ払いを完済できる、支払の猶予期間が伸びるなど負担が軽減される可能性が高まります。
3つの方法のうち未払金をすぐに完済できる可能性があるのは、1つめの一括返済する方法です。
2つめのカードローンによる借り換えと3つめの債務整理では負担は軽減されますが、返済しなくてよいわけではありません。
債務整理の中の自己破産は未払金の返済が免除される可能性がある一方で、信用情報に傷がつく、財産が差し押えされるなどの欠点もあります。
3つの方法について、それぞれ特徴を解説していきます。
リボ払いの未払金は臨時の返済が可能なため、一括返済により完済できます。
家計に余裕のできた時に返済額を引き上げるのも1つの方法ですが、可能であれば一括返済したほうが受ける恩恵も大きくなります。
一括返済によって受ける恩恵は、以下の2つです。
一括返済によって返済期間が短縮され、未払金にかかる手数料がなくなるため支払総額を減額できます。
クレジットカードの利用可能額が増え、家計にゆとりが生まれる可能性も高まります。
利用可能額は、カードの限度額から利用残高を差し引いた金額です。
リボ払いの未払金で圧迫されていた利用可能枠に空きができるだけでなく、月に利用できる金額にゆとりもうまれます。
一括返済するためには手続きが必要となり、インターネットやアプリなどカード会社によって手続き方法が違います。
一括返済の支払方法は、口座振替や銀行振込が一般的です。
カード会社によって締切日を過ぎると一括返済の実行が翌月となる場合があり、銀行振込時にかかる振込手数料などは自己負担となります。
リボ払いを完済するためには、リボ払いよりも金利の低いカードローンで借り換える方法もあります。
カードローンへの借り換えで、リボ払いの未払金の完済が可能です。
銀行や消費者金融のカードローンには最大利率が年15.0%を下回るローンがあり、借り換え専用のローンを扱っている業者もあります。
上記でも書いた通りリボ払いの手数料は利率年15.0%程度と高額なため、金利の低いカードローンへの借り換えで返済の負担が減る可能性が高くなります。
カードローンによって借り換えの対象となる借入が違うため、申込前にリボ払いが借り換えの対象となるか確認してから申し込みましょう。
新たなローンへの申込となるため審査が必要ですが、リボ払いよりも金利の低いカードローンへの借り換えにより、利息や支払総額を減額できるのが利点です。
上記の2つの方法で解決できず、手に負えなくなってしまった場合には債務整理をする選択肢があります。
リボ払いの未払金が膨らみ、自分の手に負えない状況になってしまった場合は弁護士や司法書士に債務整理の相談ができます。
弁護士や司法書士に依頼する場合は費用がかかりますが、自分に合う債務整理がわかる、返済の催促が止まるなどの利点があります。
債務整理の種類は、以下の3つです。
任意整理は裁判所を通さず債権者と債務者が直接交渉できるため、裁判所を通す必要のある個人再生や自己破産に比べて手続きしやすい方法です。
どの債務整理を行った場合も信用情報機関に事故情報として登録されるため、債務整理後一定の期間が経過するまでは新たなローン契約が結べなくなります。
自己破産では未払金の全額が免除される場合もありますが、代わりに財産の差し押えが強制執行されます。
債務整理は自分でどうにもできない場合の手段として有効ですが、欠点もあるためよく検討した上での利用が必要です。
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